• Hiroyuki Fukuhara

Bloom Touch飛猫の叡智の海を潜る


先日、久しぶりにローゼンメソッド・ボディワークのワークショプに参加してきました。

ソマティクスの先駆者のひとりである、マリオン・ローゼン。2012年に97歳でこの世を去るひと月前まで、彼女はセッションを現役で続けていて、指紋は完全に摩滅していたそうです。

ボディワーカーとして生涯現役でありつづけた彼女の姿とローゼンワークを生み出したその創造性に、畏敬の念と感謝を覚えます。

『ローゼンメソッド・ボディワークにおいて、私たちは人々に触れます。それは、身体に触れる特別なタッチです。身体が緊張しているところや、呼吸が動いていないところに手を置くことによって、探っていくという手段を、私たちは持っているとも言えます。心理的で、スピリチュアルな癒しの手法です。それは、身体を通して見出される感情面での気づきに触れるプロセスです。その目的は、人々が自分自身の潜在力に気づき、それをこの世界に持ち込めるようにすることにあります。

 ローゼンメソッドのプロセスには、さまざまな感情を抱いたりそれらの感情を受け止めたりするスペースをつくることが伴います。人が自分自身を知っていて、すべてにおいて自分自身でいることができるとき、authencity(真正さ)がもたらされます。受容的な、リスニング・ハンド(傾聴的な働きをする手)で触れることで、私たちは、クライアントの内部から立ち上がるこの声のためのスペースをつくりだします。オーセンティシティから、自分自身を受け入れるようになり、すべてを明け渡すところ(本当の自己を知る場所)まで至るのです。人々は自分の人生と存在を、気晴らし、羞恥心、義理、競争などで包み込んでいますが、それらは本当の自己を感じることを妨げるものです。このような包みに気づくようになることで、いかにそれらが制約するものであり、結局は不必要なものであるかを、クライアントは理解します。身体を通して呼吸が十全にできるように解放することは、この理解をサポートするものであり、そしてこのようなことが起こるときに変容が可能となります。

 この60年間、私は絶えず、どんなときも学んできました。いつも熱心な学習者であり、オープンで、好奇心を持っていて、88歳(当時)になっても学ぶことに積極的でした。私のワークは決して終わることはありません。なぜなら自分の意識が開かれるにしたがって、さらに見えるものがあるからです。このような関係性を意識するようになるために、どれだけ長い時間を要したのかには驚くばかりです。今は、科学の分野からの支持があるので助かっています。科学が、私が体験してきたことを、役に立ち、有効であると証明してくれているのです。私は貪欲な好奇心を持っていて、何であれそれで当たり前のようには受け取りません。ローゼンの指導者やプラクティショナーたちを、身体的・感情的な健康のための智慧を求め続けている、好奇心に満ちた人たちのコミュニティであると考えています。すべての可能性に対してとても生き生きとした感覚を持っている人たちなのです。

 ローゼンメソッドは、身体を通して、感情と体験につながる方法です。身体は嘘をつきません。呼吸と筋肉を通して、身体は私たちの感情の真実を見せてくれるのです。筋肉の緊張を通して、身体は、それが起こった当時にはうまく扱うことができない感情と体験を抑圧します。私たちは起こったことが何であろうと忘れることはよくありますが、これらの感情と体験は依然として私たちとともにあるのであり、身体にしまわれているのです。そして、私たちは無意識の中にそれらをとどめておくために、たくさんの努力をしなければなりません。このような筋肉の緊張はまた、身体を通して呼吸が自由に流れることを邪魔しているのです。

 ローゼンメソッドは人の内面の成長を促すものであり、それが最も大切な作用であるように思えます。その内面の成長は、身体面、感情面、スピリチュアルな面でクライアントに決定的な影響を与えるのです。私たちは、クライアントの成長を妨げている部分(障壁になっているもの)と向き合います。障壁が取り除かれると、外から努力や助けがなくとも、成長は必然的な結果として起こります。人々は広がることができるのです。

 感情においては、クライアントが、自分の人生に押しつけてきた限界を自分自身でつくってきたことを自覚するようになります。それとともに、クライアントは、自分が違う行動をとることを許すという選択のポイントに至ります。障壁が取り除かれると、クライアントは(心を)開き、自分自身を(愛する能力、創造力、そして思考能力を)見せることを選びます。クライアントは、自分のできることのすべてが、人生の一部分になることを認めるおとができるのです。隠すというプロセスが反転します。自分のありのままのすべてを、抑圧することにエネルギーを使うかわりに、今度は、表面に出し、見られるようになり、自分の存在の豊かさに気づくようになることを自分自身に許すのです。

 プロセスは理屈ではなく、現れることを許されるときに、内部から出現するだけです。

 その手法は、とてもシンプルで率直なものなのですが、そのことがローゼンメソッドをこれほどまでにも力強いものにしています。このシンプルな手法から私たちが得られる結果に匹敵するものを、私はいまだかつて見たことも読んだこともありません。

 プラクティショナーは、人々の抱えているものの深みの中へと入って行き、障壁と接触することを求め、その背後にあるものが水面に浮かび上がるのを待ちます。プラクティショナーの役割は背景に留まることであって、クライアントの体験がローゼンワークの確信です。プラクティショナーはクライアントに優先順位を押しつけることはありません。私たちが感じるのは、クライアントだけが自身を癒すことができるということであり、他の誰も、彼らのためにそれをすることはできないということです。クライアントは身体的な体験と知識を通して、またはスピリチュアルなつながりを通して、自身を癒すことができます。

 プラクティショナーのタッチは、オキシトシンを分泌させる驚くべき力を持っていて、これが人々にすばらしい効果をもたらします。このプロセス中に、いつもとは異なる姿、緊張によって防御されていない姿、つまり本当の姿が現れてくるのを見ることができるのです。しばしばこのプロセスは感情的に相当辛いもののように見えますが、それは短時間のことにすぎません。もはや体験についての記憶や感情を押さえつける必要はないので、大きな安心感がやってくるのです。ローゼンメソッドのタッチは愛のあるタッチであり、多くの人が体験したことがあり、生きていく中で再び欲しくなるタッチです。他の人たちは一度もこの愛のあるタッチを体験したことがなく、切望しています。自分でこのタッチを与えることはできないのです。ローゼンメソッドのプラクティショナーは、触れられる必要のある場所に、その人が触れられたいように触れるのです。

 触れることによって、身体の細胞の中には、知性によっては認識できない意識が存在することに気づきます。私は何度も何度も感じています。人々が知性を使って自身の困難な問題について話すときは、身体的に触れられるときほどは気づきが深まらないようです。タッチは、煩雑な手続きを省略して、障壁や苦悩や抱えていることの核心を見つけ出すもののように思えます。』

    「ローゼンメソッド・ボディワーク」 マリオン・ローゼン著

#マリオンローゼン

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